皆さんこんにちは。
塾の広告って「分かりやすい!」を打ち出していることが多いですよね。
塾に通う一つの目的は「分からないところを分かるようにする」ことなので、当然といえば当然です。
でも最近読んだ本にこんな一節を見つけました
分かりやすい授業は考えなくなる
この一文を読んだとき、私は衝撃を受けました。
まるで「分かりやすい」を否定するかのような本。
今日はこの本の内容について、書いていきます。
成田市囲護台・香取市佐原で個別レッスンやってます
頑張ること、頑張り切ることを伝えています。
この記事は以下の2つの本を参考に書いていきます
参考までに本の説明を書いておきます。
・教育論
中学受験界に一大旋風を巻き起こした、 あのカリスマによるベストセラーが、装いを新たにして登場!
「中学入試は子どもの地頭をよくする場!やり方さえ間違えなければ……」
無試験先着順の入塾で首都圏最難関トップ校(開成、麻布、栄光、筑駒、駒東、桜蔭、フェリス)に80%の進学率という驚異の実績をあげ、テレビ「情熱大陸」出演でも大反響を呼んだ算数教室主宰の著者が、その秘密を公開。
単なる学習法にとどまらぬ、強い頭と心を育てる子育ての書です。
中学受験をするしないにかかわらず、小学生をかかえたすべての親御さんにお読みいただきたい一冊。
・東大・京大に合格する子どもの育て方
分かりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っている――。
40年にわたり教育の現場に立ってきた著者による、目からウロコの教育論。
自分の息子に良かれと思ってしていたことが、実は全くの逆効果かもしれないという事実、
現代の学校教育が抱える問題、そして、どんな子どもでも人生を切り開く力をつけられる独自の「思考型」教育とは?
わが子の将来について悩む保護者必読の子育ての手引き。
〝東大や京大のようなトップ校に楽に合格する子どもは必ず「自分で考える習慣」を持っています。
難問にぶち当たっても諦めず、集中力を持って考え続けられる力を持っているのです。
性格なのかあるいは人から教わったのか、いずれにしても自分で考える習慣を身につけていて、考え抜く力を持っています。
では、多くの子どもたちに、なぜ、こうした「考える習慣」がないのでしょうか。
それは日本の学校教育が「考える」ことより「覚える」ことを重視しているからです
この2つの本の文体は全く異なりますが、言いたいところは似ています。
「強育論」は著者の個性が出まくっているので、読む人を選ぶかもしれません。
両本に共通しているのは「考える力」の大切さを訴えている点です。
例えば、算数の計算問題ができるようなったり、他の子よりも早く計算できるようになるのは素晴らしいけど、それは単なる「作業」であり、「考える力」には何の効果もない!そうです(私が言ってるわけじゃないですよ(笑))
分かりやすい授業は子供たちが疑問に思わずに分かった気にさせてしまい、考えなくさせてしまうとも言っています。
強育論の宮本先生は算数の問題集も出していますが、その最初のページにはこうやって書いてあります
この問題集は
「教えないで考えさせる」
「問題を解くよりも悩むことに重点を置く」
そんなコンセプトの本です。(教えなくていいなら、親もラッキーではないでしょうか?私も息子にやらせています。ついつい口を出してしまう親御さんには大変かもしれません)
将来、社会に出た時のために暗記力よりも思考力が必要になるのではないでしょうか?
私も子を持つ親として、AI全盛の時代を生き抜くにも思考力をつけさせてやりたいところです。
ふと思い出したのが、映像授業です。
最近では映像授業も当たり前になりました。
大手の予備校の先生が解説して、分かりやすさはずば抜けています。
でも、映像授業が当たり前になって、生徒の全員が成績爆上がりしたのかといえば、そんなこともないんじゃないかと思います。
もしかすると「分かりやすさ」が「分かった気にさせている」だけなのかもしれません。
とある英語の参考書の最初のページにこんなことが書かれていました。(英文法の核)
「わかりやすい」を売りにした文法参考書は、わかったと思わせることを目的としており、過度な単純化が生じてしまっています。そして網羅性を欠如している、つまり「なるほど」と読者が思いやすい点のみに焦点を当てて説明しているわけです。こういう参考書は社会人にとっては面白いかもしれませんが、受験生の立場からすると有益というよりはむしろ有害です。これは例えば「例外はまずは無視」というスタンスで根本を説明するという宣伝文句を掲げながら、例外とはいえない部分までも無視するという過度な単純化を行う傾向が見られます。
分かりやすくするために、難しいところの説明を省く。
初学者や勉強嫌いには学ぶ楽しさを知るきっかけになりますが、簡略化のあまり穴だらけで長い目で見ると遠回りになる可能性もあります。
じっくり考えるのことで思考力を育てる
それはそうなのですが、現実はそうはいきません。
学校で習う内容はとても多いからです。
英語に関して言えば、高校の内容が中学に降りてきていますし、理科はゆとり世代の1.5倍ほどになっているとも言われています。
その量をこなすためには、いちいち考えさせるより、答えを教えてその解き方を覚えなさい!となるのが実態だと思います。
受験生ともなれば、受験日は決まっているのでそこまでにいかに合格ラインに乗せるか、いかに無駄をなくして効率的に勉強を進めるかが求められます。
英語については考えが分かれるところで、英語を受験科目としてみた場合と将来の武器としてみた場合で意見が変わる領域です。
ただ、文科省が実用英語の習得に舵を切っている今、受験のための英語を学ぶことで、将来英語を使うときの基礎力も養えるようになりつつあると思います。
とは言え、ちょっとした工夫やコツは必要で、それが指導者の腕の見せ所です。
高校や大学に受かるのは前提として、その先を見据えた英語教育を目指しています。
さて、思考力を養いつつ英語力も効率的に引き上げるにはどうすべきでしょうか?
兼ねてから塾生には伝える「悩むからこそ力になる」は維持するとして、他にどんなことをするべきだろうと思考を巡らせています。
宮本先生のパズル問題を見ると、一発で解き方が頭に浮かぶ子などいなく、試行錯誤の末に答えにたどり着くようになっています。
例えば数学の入試問題で、問題を見ただけで解法が頭に浮かぶことは少ないです。
なので、「こうかな~、う~ん違う」「こっちかな~、やっぱり違う」「じゃ、こっちかな~、うん?なんか見えてきた」という風に試行錯誤が必要になります。
そんな試行錯誤できるだけの忍耐力をつけてあげたいと思います。
試行錯誤して解かないといけないってことに気づいていない生徒も多いです。
問題を見て解法が浮かばなければあきらめてしまう子は試行錯誤しなきゃ解けないことにすら気づいていないんです。
英語も文章が長くなり構造が複雑になると、この試行錯誤が必要になります。
例えば以下の英文を見てください。
これは先週、中2で準1級を目指す塾生と読んだ英字新聞の一文です。
The suspect accused of killing and stealing cash from an elderly man in his home here said he had applied for a part-time job that solicite dworkers with “150,000 yen (about $990) or more daily wages” before the crime, investigative sources told the Mainichi Shimbun.
https://mainichi.jp/english/articles/20241025/p2a/00m/0na/016000c
主語はどれかな?述語動詞はどれかな?と探すと、accusedが最初に出てくるので、これが述語だ!と思って読み進める。
でも、あれれ?saidが出てきた。う~ん、これも述語動詞になり得る・・・。となるとさっきのaccusedはいったい何なのか?
こんな感じで試行錯誤して読んでいく必要が出てきます。
ポイントは間違いを自分で気づいて修正してくこと。
そのためには自分で仮説を立てて、それが正しいのかを検証して、間違っていたら修正する力が必要です。
その思考をサポートするためにも、やはり塾生がどう読んでいるのか、どう読み間違えているのか、なんで読み間違えたのかをフィードバックしていかなければなりません。
ちなみに、ネイティブも試行錯誤しながら読んでいるそうです。視線を可視化する装置を取り付けてネイティブに英文を読ませると、視線を行ったり来たりさせながら読んでいるとのこと。
これらは継続するとして、いかに考えさせるか、試行させるか、負荷を上げるか、を意識してレッスンの密度を上げようと思います。
例えばよく言う「説明させる」などを取り込もうかと思います。そうすれば、生徒が正しく理解しているかもチェックできますし、生徒によってはそこまで理解できているなら、もう一歩深い解説を加えたりもできるからです。
「説明する」は「言語化トレーニング」にもなりますので、負荷はかなり高いです。
生徒によっては厳しく感じることもあるかもしれませんが、私の想いや意図を伝えて、背景を理解してもらいます。
ちなみに、レッスン時に書いた説明はこちらです↓
↑オンライン指導なのですが、ZoomとiPadの組み合わせることで、対面と劣らない質を維持することができます。
やっぱり時には教材よりも英字新聞とかの生の素材から学べることも多いなぁと思っています。
思考力についての本を読むと、それは「試行力」とも言い換えられるかなぁと思っています。
粘り強く考える力は忍耐力にもつながりますし、英語を学ぶ過程で他教科への波及効果もあるはずです。
何よりも私を信じて入塾してくれた塾生と親御さんの期待に応えるためにも、負荷の高いレッスンを提供したいと思います。
ひとりひとりのレベルに合わせて負荷を変えられるのも個別指導の利点ですので。
こんな想いで毎日レッスンの準備をして、塾生たちを迎えています。
今日も頑張ります!
一緒に頑張りましょう!